どんなカタチでも、一枚の紙から折り出すことができる[※1]……折紙におけるこの命題は追求され続け、いまやそれは、古典的なおりがみ(折鶴やだまし舟)からは想像できないレベルに達している。
その最右翼が、コンピュータによる折紙アルゴリズムの探求だ:
ラング氏の「ツリーメーカー」は、あるカタチの骨格(ツリー型のグラフ)を示すことで、一枚の紙から折り出すヒント(展開図のバリエーション)を与える[※2]。また舘氏の「オリガマイザー」は、つくりたいモノの外観(凸多角形)を描くことで、その形を忠実になぞる展開図を生成する[※3]……アプローチはまったく異なるものの、これらの手法で作られる完成品の豊かさをみれば、もはや一枚の紙から折れないカタチはないのでは、と思えるほどだ[※4][※5]。
こうなると折紙は、平面/立体造形のための、最小の(ミニマムな)素材+手法となりうる……表現に必要なパーツとツールは、<一枚の紙だけ>だからだ……現代において紙は、日常もっともありふれた素材だ(粘土や砂より入手しやすい)。そして折るだけなら、ほかにはなにも(はさみものりも)いらない。手近にあるメモ用紙をただ変形させるだけで、車や竜などのリアルな模型/複雑なオブジェや実用品など、あらゆる創造物に姿を変えてしまう。
折紙による造形は、いまや人を驚嘆させる職人技にまで達し:
芸術といっていい存在感を持つ作品も生まれている:
いっぽう、より単純なカタチを求める方向もある……折るという操作は作図不可能問題などを比較的かんたんに解くため[※6]、その性質を使って、いくつかの幾何の定理をより簡潔に証明することができる:
井田/高橋氏の「イオス」は、折紙の構造を論理的にシミュレートする[※7]。だから幾何の自動証明に使うことができる……定理を語るカタチとはどういうものか、このソフトは克明にみせてくれる。
創造する折紙は、カタチの完成をもとめて想像力の限界をさぐる。解決する折紙は、カタチづくるための最適なやり方を、無数のアルゴリズムから選ぶ(あるいはその解決手法が、新たなカタチを生む)。
創造と解決……ヒトのおそらく両極端に位置する能力の、どちらをも要求する折紙。これほど独特な造形技法は、そうない。