創造する玩具


primitive forms in the mind

たま落としとブートストラップ

解説

2008.04.16

なにもない原っぱでビー玉を手から離せば、それはただ鉛直方向に落下する。

でも、枝の生い茂る樹のてっぺんから落とせば、地面に落ちるまでにかなり多彩なビー玉の動きを楽しめるかもしれない。

地上より高いところにあるビー玉は、位置エネルギーUをもつ。これは運動エネルギーKになりうる潜在的なエネルギーだ。

玉落としの玩具は、このU〜Kを使い倒す

U(高さ担当)+K(速さ担当)は最初のUを超えないかぎりいくらでもその割り合いを変えられるから、コースの可能性はただ下るだけではない。技量があれば、宙返りや空中ブランコなどアクロバティックな動きで、高度な<ビー玉サーカス>を演出できる(じっさいは摩擦で熱エネルギーが放出されるから、U+Kはしだいに小さくなっていくが)。

それだけでなく、他の系(積木、鉄琴、ドミノ、バネ、そして玩具以外のあらゆるもの)と組み合わせれば、森羅万象あらゆる現象を引き起こせる。そのエネルギーの総量は、最初のUにも縛られない。ひとつのビー玉から世界を創造することも可能、ということだ(原理的には)。

始めのしかけが単純だからこそ、複雑な結果が得られると驚きは大きい。これほどワクワクさせられる玩具もそうないと思う。