創造する玩具


primitive forms in the mind

マグネット・ブロック 〜 磁力の魅力 〜

解説

2008.04.21

ヒトは、<力>を接触させることで働くものだと思っている(ドアを押せば開く、包丁を引けば切れる)。これはとても強固な思い込みで、いくら自然科学が発達しても人類からこの感覚を消し去ることはできそうもない(※1)。

いうまでもなく、本来の<力>は遠隔で働くものだ。自然界にある4つの力(重力、弱い力、電力/磁力、強い力)には、どれも互いに接触して働くものはない。

磁石のブロックが面白いのは、この<遠隔で働く力>という(自然界では当たり前なのだけれど、ヒトの感覚からすれば異常な)現象を、眼前に見せてくれるからだと思う(※2)……磁力を使ってモノを空中に浮かべる玩具がいくつかあるが、「これが当たり前なんだ」とアタマでは納得しようとするものの、心が受けつけない。

※1
あるいは重力がもう少し強く、そして地球がもう少し小さければ、ヒトが重力を<体感>する機会もあったかもしれない。でもそんな環境では、そもそも人類は生まれてもいないだろうし。
※2
たしかに4つの基本的な力のうち、<玩具>として使えそうなものとなると、磁力くらいしかない。弱い力や強い力は日常では使えないし、重力だとあまりに身近すぎて、それを<力>として意識させる(驚きによって興味を抱かせる)のは難しそうだ。