リンク機構のダイナミズム
解説
2008.04.21
リンク機構とは、ある運動を、べつの形の運動に変えるためのメカニズム(※1)。
たとえば蒸気機関車では、スチーム・エンジンに直結した往復運動を、複数の連結棒(リンク)を使って、車輪の回転運動に変える。逆にすこし前のロボットでは、モータに直結した回転運動を、歩行のための往復運動に変えたりしていた(チェビシェフ・リンク)。
現代では、軽くて複雑な動作はサーボ・モータで行うことも増えたため、リンク機構は以前ほどメカニズムの中心ではなくなっている。
ただサーボ・モータの動きは味気ない(もちろん技術的には大変な進歩だけれど)。モータの小刻みな回転で接続部が動くわけだが、見た目はそれだけ。動作のルールはコンピュータのプログラムに書き込まれた記号の羅列で、外からはみえない。
その点、ハードウェアだけで構成されるリンク機構は、すべてが裸のまま露出している。その動きのダイナミクスと、リンクが複雑になるほどに増す摩訶不思議さは、みる人を圧倒する(※2)。
- ※1
- より正確には、間接的に(じかに接することなく)、剛体(かたい棒など)によって、モノを動かす機構をいう。
- ※2
- たとえば、テオ・ヤンセン氏のこの作品:
- ・
- 砂浜動物[→ http://www.stran ...]
この<生物>は<風>を摂取し動き回る。そしてたぶん、どこかのバーの長さをほんの少し変えるだけで、死んでしまう(あるいは大混乱に陥る)。巨大だが精妙な生命体。