量塊系ブロック 〜 マッス指向の造形術 〜
解説
パーツどうしを密着させ、モノを内部からつくりこんでいく……<ブロック玩具>と呼ばれているおおくの商品が、この造形手法を前提として作られている。
代表格は、積木とレゴ・ブロック(とその亜流)。
積木はもっともシンプルなブロックだが、反面、つくれる形にかぎりがある(積木がくっつくのは重力に依るから、それらは上下にしか積めない。だからでき上がるモノはどうしても=特別に工夫しないかぎり=<末広がり>になる)。
その重力の束縛を解き、ブロックを上下左右どの方向にもつなげられるようにしたのがレゴ。パーツどうしをただ噛み合わせるだけではブロック玩具とはいえないが、レゴはその絶妙な噛み具合により、組み立てたものはそれなりに頑丈だが、バラすのも比較的たやすい、という<二律背反の解消>を成し遂げた。
量塊系ブロックの巨大な作品群
積木にせよレゴにせよ、この系統のブロックは、おおくが多角柱(立方体/直方体/三角柱)から成っている。
だからこれらは、建物やロボットなどの(どちらかというと角張った)堅牢な人工物を作るのに適している。ブロックどうしの結合力はとても強いため、(積木では上下の方向にかぎられるが)構築物をいくらでも高く/大きくできるのが、このタイプのブロックの最大の利点だろう。
とはいえ、この種のブロックでも有機的なかたち(多様な曲面)を表せないわけではない。
たとえば傾斜角度の違うたくさんの三角柱を表面に添えていけば、それなりに曲面を表現できる。ただ曲面が複雑になるほど、作るモノはより巨大になるけれど(あるいは、より小さなブロックが必要となる)。
そういった作品のなかでもっとも知られているものは、レゴ・ブロックによる<積分モデル(lego sculpting)>と呼ばれているものかもしれない。
これらのモデルでは、(むしろ三角柱などはいっさい使わずに)ひたすら直方体のブロックだけを使って(※1)、地上のあらゆるものを表現しようとする。これは<全体に比して構成要素が十分に小さければ、みかけ上はなめらかにみえる>という視覚の限界を利用したものだ。必然的にできあがるモノは巨大になるが、「これがブロック?」と思わせるような作品も多くつくられ、日々人びとを驚かせている。
- ※1
- なぜ直方体だけなのかというと、それがこのモデルを作る人たちの矜持だからだろう。