基尺40ミリの積木で遊ぶ 〜 積木界のデファクト・スタンダード 〜
40ミリ基尺の積木で遊ぶ
長さの単位を40ミリにした玩具は多い。積木をそれだけで完結させるのでなく、他の玩具の<部品>として、また玩具どうしの<橋渡し>として使えば、遊びのはばは格段に広がる。
たとえば次のようなケースで、40ミリの積木を玩具の補助に使うことができる:
- ○
- 汽車セット……レールの橋脚に使う(はば40ミリ/高さ60ミリがレールセットの橋脚サイズ)。そしてここから始めて、情景の要素(トンネル/駅/家/道路/山など)を作っていく。
- ○
- たま落とし……スカリーノやハバのクーゲルバーンなど、玉落とし玩具の土台に使う。また装飾にも。
- ○
- ドール・ハウス……40ミリという大きさは、ドール・ハウス(1/12スケール)の椅子の高さ(座高)に近い。だから40ミリの積木で椅子を作ることから始めて、あらゆる家具(机/棚/台所/ベッド/ソファ/テレビなど)を作っていける。さらに長い板の積木(160〜320ミリ)が十数枚あれば、家そのものを作れる(じっさい、平屋から3〜4階建てまで、遊びの状況に応じていろいろな部屋や建物を設計するのはとても楽しい)。
- ○
- ままごと……ごとくや蛇口などを作る。幼児の手になじむサイズだから、ままごと道具との相性はいい。
また逆に、他の玩具を、40ミリ積木の補助に使うこともできる:
- ○
- 飾り……40ミリ・モザイク用の板で、積木の構築物をカラフルに装飾する。
- ○
- ギミック……レゴ(※1)やギゴを組み合わせ、様ざまなしかけを作り込む。とくにレゴならコンピュータによる制御まできるので、積木でありながら高度なギミック満載という構築物が生まれる。
- ※1
- レゴの標準ブロックを、水平に5つ×上下に4つ並べると、かなり正確な40ミリ立方体ができる(はば<39.65mm >×高さ<39.66mm >)。これはちょっとした驚きだ。なぜならレゴの基準はインチ単位だから、メートル法とはとても相性が悪く、はばと高さがともに1ミリ以下の差でひとつの立方体に収まるなどいうのは、ありえないような偶然だから。
マグネット・スピールの缶入マグネット/magnet-box
copyright: magnet spiele reference: http://www.magnetspiele.com/ |
磁石付きプレートを使うモザイク玩具。
パーツは、三角形/長方形/円形(半円ふくむ)の3種。
正方形パーツのサイズは、一辺40ミリ(※1)。
鉄板の入った基盤(※2)に、磁石の付いたプレートを貼り付ける。磁力を使うので基盤が傾いてもいい(※3)。
- ※1
- だから40ミリ基尺積木の飾りなどにも使える。
- ※2
- 基盤は付属の缶を使ってもいいが、文具の鉄板入りホワイトボードなども使える。
- ※3
- 基盤を斜めにし、ビー玉と組み合わせれば、玉落としのコースにもなる。
- 参照
- 公式サイト[→ http://www.magne ...]
レゴ/lego
copyright: lego reference: http://www.lego.com/ |
小さな直方体を基準としたブロック玩具(※1)。
基本パーツのサイズは:
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- 5/16 in = 7.93 mm …… スタッド1コ分のブロックの横幅
- ・
- 6/16 in = 9.52 mm …… ブロック1コの高さ(スタッドふくまず)
- ・
- 2/16 in = 3.17 mm …… プレート1コの高さ(スタッドふくまず)
- ・
- 1/16 in = 1.58 mm …… スタッド1コの高さ
- ・
- 3/16 in = 4.76 mm …… プレート1コ+スタッド1コの高さ
レゴ・ブロックの最大の特徴は拡張性。幼児向けの大きめのブロック遊びから、コンピュータ制御まで、はば広く対応している。これほど多様な広がりをもつ構成玩具は、いまのところレゴ社のこの製品しかない。
- ※1
- この系統のブロックは、基本パーツを立方体にした方が、3次元のどの方向からも組みやすくなり問題はすくない。それをあえて直方体にしたのは、見た目や/掴んだときのなじみやすさ、といった点を重視したからかもしれない(コア・パーツである2×4スタッドのブロックは、短辺:高さの比率が5:3となっているが、これは黄金比に近い)。
- 制作
- レゴ/lego
- 参照
- 公式サイト[→ http://www.lego. ...]
ギゴ/gigo
copyright: genius toy reference: http://www.gigo.com.tw/ |
このブロックのパーツは、完全な立方体をしている(一辺20ミリ)。しかもパーツの全面(6方向)に接続部があるから、上下左右、どの方向へもムリなくつなげることができる。
またメカニズム系(エレクトロニクス系ふくむ)のパーツ/パッケージも、多く提供されている(※1)。
- ※1
- 日本では一時期、学研が輸入し販売していたが、いまはほとんど扱っていない。代わりに「エンブレイン」ブランドの「フリーキューブ」という商品名で、少量のブロック(一部ギアを含む)を独自パッケージ化して提供している。またオランダのジェグロ社が、このブロックの詰め合わせをやはり独自パッケージで販売している(日本ではこれをボーネルンド社が輸入している。)。
- 参照
- 公式サイト[→ http://www.gigo. ...]
- 参照
- 学研:「エンブレイン」[→ http://www.gakke ...]
- 参照
- ジェグロ社[→ http://www.jegro ...]
レゴ・テクニック/lego technic
copyright: lego reference: http://www.lego.com/ |
レゴ・ブロックの一系統で、ギアやリンクなどから成る<機械>を作ることのできるシリーズ。
ただしこのシリーズ、大きく2系統に分かれている:
- ・
- 旧テクニック系……最初のシリーズ。レゴの通常パーツ(縦横の短辺:高さの比が5:3)の側面に、一列に穴を空けたバー(=ビーム)が基本となる。それまでのレゴ・ブロックの流儀を踏襲しているため、<積む>という組み方を排除しきれず/縦横と高さの比が<単純な整数比ではない>という欠点もなくすことはできなかった。機構をつくるには組みにくく/それなりに注意して作らないと完成品も脆くなる。
- ・
- 新テクニック系……現行のシリーズ。レゴの新規パーツである、縦横:高さの比が1:1のバー(=リフト・アーム)が基本となる。またこのバーからはスタッドがなくなっているため、ユーザはなかば強制的に、コネクタを使った組み方にシフトさせられてしまう。素直に組めば、完成品は丈夫で/シンプルになる。
新テクニック系は、レゴの歴史のなかでも画期的なシリーズだと思う。(フィッシャーテクニックなどもそうだが)機構をつくるブロックの場合、立方体を基準にしたパーツ構成のほうが組みやすい。レゴ・ブロックの5:3のポリシーは旧テクニック・シリーズでも変わることがなかったが、新シリーズでついに<縦横:高さの比1:1>(=立方体)のブロックが出現した、ということになる。
- 制作
- レゴ/lego
- 参照
- 公式サイト[→ http://technic.l ...]
レゴ・マインドストーム/lego mindstorms
copyright: lego reference: http://www.lego.com/ |
MITメディアラボ、ミッチェル・レズニック氏の研究室から生まれたロボット玩具。
レゴ・ブロックの一系統で、可動ブロックを自動で動かすことを目的とする。「テクニック」シリーズに、次の部品が加えられたもの:
- ・
- 中央ユニット……CPUと電源系統を埋め込んだブロック。
- ・
- センサ……外部の状況を探知するユニット。光度、接触、傾き、などを検知できる。
- ・
- モータ……回転運動を提供する(この運動をリンク機構などを使って、さまざまな動きに変換することができる)。
- ・
- ライト、サウンド発信器
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- 赤外線コントローラ……遠隔からモータの動作を制御できる。
- ・
- ソフトウェア……パソコンで動かす。センサ類からの情報を得て、モータ群を制御するプログラムを書くことができる。
このシリーズは、大きく2系統に分かれている:
- ・
- 旧マインドストーム系……フレームは旧テクニック系を使用(組み上がるものは比較的脆い)。モータやセンサは単純な機能しかもたない(回転数固定のモータ、モノクロ識別のみのセンサ、など)。
- ・
- 新マインドストーム系……フレームは新テクニック系を使用(組み上がるものは比較的頑丈)。モータやセンサには最新の技術が取り入れられている(とくにモータがサーボモータに変わったため、ロボットのようなものはリンク機構を使わなくとも作れるようになっている)。
2009年末、旧版の中央ユニット=RCXのサポートが終了。
雑感:
個人的には、旧マインドストーム系がなくなるのは残念。サーボモータが主体になるのは時代の流れだろうけれど、リンク機構で動作を工夫する前シリーズの方が<工作>の感覚をより刺激してくれたように思う。
- 制作
- レゴ/lego
- 参照
- 公式サイト[→ http://mindstorm ...]
スカリーノ/scalino
copyright: scalino reference: http://www.scalino.net/ |
積木タイプの玉落とし。
基尺40ミリ。部品構成がシンプル(※1)。
- ※1
- 積木タイプでも玉落としはたくさんあるが、この「スカリーノ」はその原型といっていい。なぜなら、ビー玉を落とすためのパーツ群をもっともシンプルに構成しているからだ……その核となるのが、直線の(I状の)溝がついた20×40×40ミリのパーツ……これを水平に並べれば、直線コースができる。またこの部品を2つ噛み合わせることで、上下/水平方向の<トンネル>を作ることができる(※2)。
- ※2
- この基本パーツに、曲線の(J状の)溝がつくパーツを加えると、玉の進路を上下/水平方向に変えることができるが……ただそのようなパーツをビー玉(ガラス玉)と組み合わせて使うのは難しい。侵入してくる玉の衝撃で、J型溝パーツはすぐに外れてしまうからだ(これを回避するために「トンネルキューブ」やカデン&カデン社のクーゲルバーンなどは、ボールを軽い木製にしている)。水平方向に進路を変えたいとき、この玩具では<上から落とし横に押し出す>立方体の通路パーツを使うことになるが、その安定度はたしかに高い。
- 参照
- 公式サイト[→ http://www.scali ...]
ブリオの木製レール
copyright: brio reference: http://www.brio.net/ |
木製のレール・セット。
木製レールの玩具では、レールやギミックの種類がもっとも豊富。
- ※
- 日本では、博品館が多くのパッケージを扱っている。
その反面、電動/電子式の車両が大量に投入されており、<木の玩具>のもつ素朴さは失われているのかもしれない。
- 制作
- ブリオ/brio